バルス株式会社は2021年11月20日に開催したVtuber宗谷いちか(読み:そうやいちか)によるソロライブ「Ichika Souya 2nd Q Re:18:2」を制作しました。
宗谷いちかは、歌やバラエティ企画などで人気を誇るVtuberで、774 inc.(読み:ななしいんく)所属ユニット「有閑喫茶あにまーれ」のメンバー。個別で活躍するVtuberが多い中、774 inc.所属のVtuberは「ハニーストラップ」「シュガーリリック」「緋翼のクロスピース -ひよクロ-」といったユニット単位での活動で人気を集めており、特に宗谷いちかが所属する「有閑喫茶あにまーれ」は、過去に有料配信ライブでTwitterトレンド1位を獲得。774inc.は、YouTubeチャンネル登録者数の総数が国内で3位のVtuber運営企業となっています。
「Ichika Souya 2nd Q Re:18:2」は、そんな宗谷いちかの誕生日を記念して開催されたオンラインライブで、自身としては2回目となるソロイベントです。2021年に新たに見直されることの多かった「東京」という街をコンセプトに選び、バーチャルライブでの新しい映像表現を見せつけた最先端のライブとなりました。
※参考映像(エンベッド可)
【ONLINE LIVE】Souya Ichika 2nd Q 「 Re : 18 : 2 」#宗谷いちかワンマンライブ【宗谷いちか / あにまーれ】
■実働したスタッフの人数は約30名
観客を飽きさせない、あらゆる演出を詰め込んだバーチャルライブに仕上げた結果、アーティスト本人以外だと、イベント開催社としてライブに関わったのは合計12名。その陣容はディレクター、3DCGディレクター、テクニカルディレクター、カメラ、サウンドディレクター、映像エディター、プロダクトマネージャー、配信スタッフ、フロアスタッフでした。その他、ダンス指導やカメラマンなどは外部スタッフの力も借りているので、総勢30名ほどで製作にあたっています。
■バーチャルライブでの新しい表現追求
全編を通して「バーチャルライブ・オンラインライブだからこそできる新しい表現」に挑戦することにこだわりました。通常のバーチャルライブの場合、リアルでのライブと同じく「1つのステージの正面に客席がある」というやり方が多いのですが、「Ichika Souya 2nd Q Re:18:2」はそういった表現ではなく、360°のステージや背景が横スクロールする動きのあるステージなどを製作しました。
また、現実世界だと、渋谷のスクランブル交差点でライブをすることはまず不可能ですし、ミニキャラになって原宿の街を歌い歩くこともできません。渋谷・原宿という街や、地下鉄・路地裏・ビルの屋上といったステージを一つのライブとしてまとめたのは、オンライン、そしてバーチャルのライブでしかできない表現でした。
■1ステージのカメラは最大18個、ライブ全体で560以上のカットを使用
全編を通して、カメラの切り替えを多用していたこのライブ。実は一つのシーンで、最大18個のカメラをCG上で設定していました。すべてのステージを合わせると、計560以上のカットを使用しています。
特に、曲数が多かった渋谷と新宿編では、単調にならないよう曲によってカットの切り方を変えました。ズームイン・ズームアウトなども使って、いろんなパターンを見せています。そんなディテールにこだわったライブの撮影はUNITY上にCGで制作した舞台を組み込み、リアルタイムでモーションキャプチャーを行いました。
バーチャルライブでハンディカメラを2台同時に起用することは珍しく、更に今回は、カメラ機材にも特殊なアタッチメントを採用し、画のバリエーションが増え、緩急のある映像になりました。
ステージはすべて今回のために新規制作したもので、どれもリアルの街や景色をベースにして製作しています。現実をもとにしつつ、バーチャル世界のステージとして成立させるという非常に難しいことを実現しました。
■リアルタイムのバーチャルライブ
今回のライブで使用した演出の中には、既存の映像表現として使われてきた演出もあります。ただ、それを「リアルタイムのバーチャルライブで行う」という事例は少なく、参考資料も少なかったため、制作陣でイメージを共有することに最も力を割きました。
リアルのライブとは違い、オンラインライブは自宅で視聴することが多く、リアルのライブのように環境が非日常とはなりません。ですのでとにかく観客を楽しませ続ける構成と画作りをするような構成にしております。結果として、そんな息つく暇を与えないような体験を提供できたと考えています。
■バーチャルライブが向かう未来とは
SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland(サンリオピューロランドをバーチャル上に舞台として再現したプロジェクト)のように、リアルの施設をバーチャル上に再現して行うような展開は今後増えていきます。またブランドや商品の世界も同様で、プロモーションの一環として行うなどの展開も考えられます。米国ではすでにメタバースとともにバーチャルライブも加速しており、いろんな取り組みが実現しつつあります。
■現時点での課題もすでにわずか、遠くない期間での爆発的な発展、普及に期待
制作面で多くの作業が必要となるのがバーチャルライブの難しいところです。ただ、作業が必要といっても、バーチャルライブの場合、ゲームやアニメよりはるかに小さい予算規模で実施することが可能です。また、最近はゲームやアニメを3DCGで作ることが多く、その舞台をそのままライブに流用できるようにも。当然、予算は下げられますし、挑戦しやすくなっていきます。
また、今後は音楽ライブだけでなく、漫画・アニメ・ゲームの舞台化である2.5次元を、キャラクターのまま実施する、2.2次元のようなものが具現化していく、そんな「メディアミックスの一環としてバーチャルライブを行う」と取り組みが増加していくことを期待しています。
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