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VTuber「バーチャル美少女ねむ」と共にメタバースの大規模調査「ソーシャルVR国勢調査2021」を実施して話題になったスイスの人類学者「ミラ(リュドミラ・ブレディキナ、Liudmila Bredikhina)」は5月17日、修士論文『バ美肉:バーチャルパフォーマンスの背後にあるもの。テクノロジーと日本演劇を通じたジェンダー規範の争奪』で、ジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル(Prix Genre)」を受賞した。「バ美肉(=バーチャル美少女受肉)」とはバーチャル世界で美少女になる日本発の文化のこと。「バ美肉」に関する研究が学術賞を受賞するのは世界初の快挙となる。

■ジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル(Prix Genre)」

「ジェンダー」に関する新たなアプローチを提案するジュネーブ大学の学生の学問的研究を強化促進するために設立された学術賞である。「ジェンダー」は学問分野ではなく、研究分野であり、どのような科学的分野にも統合できる分析ツールでもある。

2022年5月17日にジュネーブ大学で授賞式が行われ、ミラは他の5名の学生と共にプリ・ジャンルを受賞した。授賞式はフランス語で実施され、放送などは行われなかった。

※Prix Genre - https://www.unige.ch/rectorat/egalite/programmes-et-formations/programmes/prix-genre/

■ミラの論文『バ美肉:バーチャルパフォーマンスの背後にあるもの。テクノロジーと日本演劇を通じたジェンダー規範の争奪』

ミラの修士論文のタイトルは『バ美肉:バーチャルパフォーマンスの背後にあるもの。テクノロジーと日本演劇を通じたジェンダー規範の争奪(原題:Babiniku: what lies behind the virtual performance. Contesting gender norms through technology and Japanese theatre)』

この研究は、バーチャル世界で美少女になる日本発の文化「バ美肉(=バーチャル美少女受肉)」に焦点を当てたものである。バ美肉は日本のVTuber(バーチャルYouTuber)から始まったもので、中の人の性別を問わずに可愛らしい美少女キャラクターとして活動する興味深い現象である。
このテーマを研究するために、ミラはユーザーに密着して行動様式を多面的に調査分析する「エスノグラフィック・フィールドワーク」を2019年11月から2020年5月にかけて実施した。バ美肉がアートにとってどのような意味を持つのか、日本の演劇文化との関係や背後にある心理を理解し、美少女として自分を演出することが日本のジェンダー規範にどのような影響を与えているのか、様々な観点で考察を行った。

■スイスの人類学者「ミラ(リュドミラ・ブレディキナ、Liudmila Bredikhina)」

VTuberを研究するスイス・ジュネーブ大学の人類学者 (修士課程終了) 。日本のVTuberやバ美肉などの現象が人間のアイデンティティやコミュニケーションに与える可能性について着目し、様々な研究レポートを発表して話題となっている。自身もバーチャル美少女ねむと共にVTuberとして活動している。
Twitter : https://twitter.com/BredikhinaL

ウェブサイト: https://independent.academia.edu/LiudmilaBredikhina

■ソーシャルVR国勢調査2021

現在注目が集まる仮想世界「メタバース」での生活実態を明らかにするために、ミラとVTuber「バーチャル美少女ねむ」が全世界のユーザーを対象に行ったアンケートへの回答1,200件を分析したまとめた、60ページに及ぶレポートである。2021年10月28日に公開されて大きな話題となり、各種テレビや新聞などで大きく取り上げれれた。レポートは以下のサイトで無償公開されている。
※日本語版:https://note.com/nemchan_nel/n/ne0ebf797984c
※English ver.:https://note.com/nemchan_nel/n/n6c6f1bb22ef1

 

2022年3月19日にねむによって『メタバース進化論』として技術評論社より書籍化されている。

※『メタバース進化論』(技術評論社) https://amzn.to/3ttybVX